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【俺の嫁:第16話】嫁3号が届く

俺の嫁3号体験日記

二日後に嫁が届いた

嫁を購入したのは祝日の木曜日昼間。

週明けにでも届けば合格点ぐらいに考えていたが

土曜の朝に家のピンポンが鳴り響いた。

インターフォンごしの声は中年男性の声で

「佐川急便でーす」

と名乗った。

嫁がやってきた。

それ以外、佐川に用はない。

俺は予想外に早かった嫁の訪問に

ウキウキしながら玄関の扉を開けた。

そこには台車に乗った130cmを超える段ボールと

30代半ばの男が立ち尽くしていた。

 

上機嫌な俺の表情とは裏腹に

佐川の男の表情は疲れ切っていた。

俺にはその男の疲れた表情の理由に心当たりがあった。

男が必死に台車から降ろしている段ボールは

40キロを超えている。

屈強な佐川の配達員とはいえ

不機嫌になるのも無理はない。

ハンコをもらった佐川の男は不機嫌な顔のまま

そそくさと去っていった。

 

Misshon1:段ボールを家に入れる

玄関先で巨大な段ボールと共に置き去りになった俺は

家の中に段ボールを入れようとした。

しかし段ボールは動かない。

段ボールのサイズは132x36x26という縦長の形状。

ヒモも取っ手も付いていないので抱えるしかない。

40キロを超える持ち手のない段ボールを

非力な俺に抱え上げられるわけがない。

しかしこのまま放置するわけにもいかないので

ズルズルと引きずりながら玄関内側へと招き入れた。

10分ぐらい掛かっただろうか

玄関のドアを閉めたところで俺の体力は尽きた。

 

Misshon2:段ボールを部屋に入れる

部屋まで持っていきたいが

既に俺の腕はプルプルと震えていた。

一度休憩するしかない。

おもむろに佐川の伝票を見てみた。

品名の欄には

「等身大フィギュア42.0kg」

と書いてあった。

これってラブドールだってバレバレじゃね?

そういえばお店の注意書きに

・梱包について
秘密厳守で品名【家具】にて中身が分からないダンボール箱で発送いたします。
※佐川運輸貨物保険適応の場合、品名【等身大フィギュア】にて配送致します。佐川運輸貨物保険不要の場合【ご注文内容のご確認】下部お問い合わせ欄にてご入力下さい。

と書いてあったのを思い出した。

一般人が「等身大フィギュア」と聞いて

どういう印象を持つものなのか想像してみたが

ロクな言い訳も思いつかなかった。

まぁ佐川の配達員にどう思われようとかまわない。

 

一休み後、どうにかこうにか42キロの段ボールを

部屋まで運び込んだ頃には俺の腰はやられていた。

しかしこれでようやく開封できる状態となった。

 

段ボールを開けてみた

段ボールを開封すると

俺の嫁は首の取れた状態で梱包されていた。

厳重な梱包材を取り除くと美しい裸体が現れる。

早速裸体を取り出そうとしたところ、

「あれぇ?」

ピクリともしない。

「段ボールに固定してあるのかな?」

と思ったが、それらしき様子も見当たらない。

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

何が起こっているのか理解できないまま

俺は数秒間フリーズしていた。

 

とにかく取り出さないことには始まらないので

頭のない首根っこを引っ掴み

渾身の力で引っ張り上げてみて気づいた。

単に重かったのだ。

その重さは俺の想像をはるかに超えていたため

まるで固定されているかのように感じただけだった。

これまで5キロに満たない綿嫁を扱っていたので

大きさの変わらない今回の嫁の重さに

脳がパニック状態に陥ったのだ。

「これ持ち上がるのか?」

 

Misshon3:嫁をベッドに横たわらせる

とにかくベッドまで持ち上げたいが

30キロを超える胴体部分を持ち上げられる気がしない。

30キロのダンベルなら持ち上がるかもしれないが

繊細なラブドールを無理やり持ち上げてしまうと

手足がもげるかもしれない。

「ここは優しくお姫様抱っこにしよう」

とりあえず両腕を背中と足の下に差し込み、

「ぬんっ!!」

と渾身の力で持ち上げた。

「上がった!!!」

しかしまだ立ち上がった訳ではない。

しゃがんだ状態で膝の上に乗っけているだけだ。

ここから屈伸して持ち上げなければ

お姫様抱っこは成立しない。

しかし俺の腰は既にポンコツ状態だ。

一回で決めなければ二度目は無いだろう。

まるで重量挙げ選手のごとく

「ぬおっっっ!」

「ハッ!!」

俺は32キロの物体を持って立ち上がった。

「立てた!!!」

しかし俺の腰は既にクラッシュ寸前だ

俺は倒れこむように嫁の体をベッドに投げ出していた。

 

何はともあれ嫁の体をベッドに寝かせる事には成功した。

まさか嫁の身体をベッドに乗せるだけで

これほど苦労するとは夢にも思わなかった。

家のピンポンが鳴ってから既に1時間が過ぎようとしていた。

 

つづく

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