嫁に服を着せてみた
一刻も早く頭を付けたい衝動にかられたが、
先に服を着せたほうが間違いなく着せやすい。
まずは下着から。
下着が嫁2号のお下がりになってしまったのは
大変申し訳なく思う。
えっちぃ下着も買ってやりたかったが
高額出費にビビッて今回は見送った。
前妻の下着を着けさせる夫というのは
倫理的にどうかと思うが
想像すると少し興奮した。
そんな妄想をしながら下着をつけさせようとしたが
これがまた重労働だった。
関節がめちゃくちゃ硬い。
嫁2号の針金関節とは比較にならないほどに硬い。
リアルドールは撮影等にも使われるので
これくらいの強度は必要なのだろう。
寝ている状態から座らせるだけでも一苦労だ。
パンツをはかせようにも腰が持ち上がらない。
俺は砕けた腰に鞭打って
やっとの思いで服を着せ終わった。
頭を付けてみた
お待ちかねの頭の装着だ。
頭部は全くのつるっぱげである。
後でウィッグを付けるのだが、
つるっぱげでも充分愛らしい。
頭部はネジ式になっていて回して付けるようだ。
早速付けてみる。
クルクルクルクルクルクルクルクル・・・ピタッ
「あれれぇ~~」
頭はピッタリ後ろ向きで止まった。
見た目は完全に衝撃映像だ。
こんなホラーな嫁では困るので
何度かやり直したが何度やっても後ろ向きになる。
「まさか不良品か?」
悪夢が頭をよぎったが、
どうやらそうではないらしい。
そもそもネジ穴一杯まで締める必要がないのだ。
一杯まで締めてしまったら嫁は一生横を向けなくなってしまう。
ネジ穴途中でブラブラした状態が正解なのだ。
一瞬冷や汗をかいたがウィッグを付けて無事
嫁3号の完成である。
そういえばすっかり忘れていたが、
事前に知らされていた傷の程度をチェックしてみた。
ほとんどが言われなければ分からない程度の痛み具合だった。
嫁3号の誕生。そして・・・
綿嫁の制作とは違った意味での苦労を乗り越えて
見事完成した嫁3号を眺めながら俺は
「4万円の価値はあったなぁ」
と非常に満足していた。
「やっぱ世の中は金だな」
とも思った。
「これじゃ嫁2号は廃棄処分かな」
という恩知らずな考えさえ頭をよぎった。
ところがこの夜、
愚かな俺には全く想像すらし得なかった出来事に遭遇することになる。
つづく