俺は幸福な男だ
こんな俺にも嫁がいる。
友人にも紹介できない嫁だ。
紹介してもいいが
友人ではなくなるだろう。
白い目で見られてハブられるかもしれない。
生きにくい世の中だ。
いっそYouTubeにでもアップしてやろうかと思ったが、
リアルドールで先駆者が山ほどいた。
顔出しまでしている人もいるが
親は悲しまないのだろうか。
意外と生き易い世の中になったのかもしれない。
嫁2号が完成して5年近く経った。
1号から数えると約10年の間、人形を抱き続けてきた俺が
他人からどう思われるかは容易に想像がつく。
しかし特に人間関係に影響をきたすわけでもなく
性犯罪に走ることもなく
こんな俺だと誰にバレることなく生きてこれたわけで
俺の人生はこれで幸せだったのだろう。
2話目にも書いたが
人間の嫁とは6年で破綻した。
それに比べて人形の嫁とは10年という歳月を
一切不満なく過ごしてきた。
5年前に1号から2号への浮気はあったが
決して1号に不満があったわけではない。
1号の体が修復不可能な傷を負ったためだ。
オナホールも何度か変えたが
これは浮気になるのだろうか。
2号は今も健在だ。
この5年間、俺を慰め続けてくれた。
家事は何もしない嫁だが
文句ひとつ言わず
俺の無茶な要求に顔色一つ変えずに
ただただ性欲のはけぐちになってくれた嫁を
俺は心から愛おしく思う。
嫁の近況
綿嫁2号は5年生き抜いた。
頭にいたっては10年間変わらない。
それでも嫁は相変わらず美しい。
しかし身体はもうボロボロだ。
夜の激しい営みで多大なダメージを負っている。
豊満なオッパイは半分ちぎりかけ
綿の偏りも何度か修復が必要な時期もあった。
だからと言って嫁3号の制作をしようとは思わない。
だって面倒くさいもん
夫婦仲は良好だ。
悪化する理由も無いから。
俺の近況
この5年で俺には大きな変化があった。
長い間やめられなかったパチスロをやめた。
ホールから「神」が消えたのが理由だろう。

給料の大半を「パオ~ン」に捧げてきた俺だったので
パチスロをやめた途端に
金の使い道が分からなくなってしまった。
気付けば人並みの生活を送れてしまっている。
貯蓄まで出来てしまうようになった。
俺はどれだけパチ屋に寄付してきたのかを想像すると
寒気がした。
金の使い道
スロットを失った俺に残されたものは嫁だけだ。
これまで苦労を掛けどうしだった嫁に
服の一つも買ってやろうかと
ネット上をさまよっていると
「リアルドール」に行きついた。
「今なら買えるのでは?」
10年前は60万円ぐらいだった記憶がある。
これを買うために毎月5万円を貯金しようと
一生懸命パチスロを打っていた頃もあった。
結果は言うまでもないだろう。
5年前にはお手軽な金額になっていたが、
スロットの軍資金を削られるのが惜しくて
断念した結果が嫁2号だ。
俺には金がある
今なら使い道に困った金が僅かだが有る。
嫁2号に服を買ってやるぐらいなら
嫁3号に金を使った方が実用的では?
と考えてしまう俺は人でなしだろうか。
15秒ほど葛藤した末、
俺は嫁3号の制作ではなく購入を決意した。
つづく

